live
(5) ~R18~
シャワールームでお姫様抱っこから解放されると、ハレルヤはいきなり合成タイルに膝をつき、アレルヤのペニスに唇を寄せた。
「あ…! ハレルヤ…?」
ハレルヤの視線に淡い痛みを感じて、アレルヤが腰を引く。
「…逃げんなよ」
「で、でも……」
ハレルヤが顔をあげた。
金色の瞳で見上げられて、アレルヤの頬が熱くなる。
「イイだろ、アレルヤ…」
「あ…、洗ってから…」
「じゃあ、オレが洗ってやる」
えっ、だめっ──という暇もなく、ハレルヤが蛇口をひねる。
勢いよくふたりに降り注いだのは、湯ではなく、水だ。
「どわっ!」
「わっ! 冷たい! 冷たい!!」
アレルヤはその場を飛びずさり、さすがのハレルヤも、いきなり冷水を頭から浴びて、目をまるくした。
「どわっじゃないよ、機材は一般住居用だもの、お湯になるのにすこし時間がかかるんだ」
「だって、さっきは最初から熱かったぞ」
「それは、ぼくが先にキッチンでお湯をだしてたから」
「あー…それでか」
「もう…、風邪ひいたらどうするの」
まだ、きみは完全ではないのに…──。
わり、とつぶやくハレルヤは、しかし、ちっともそうは思ってなさそうだ。
アレルヤはハレルヤの手をとると、外側にすこしひねって、てのひらにボディソープを垂らした。
ん? という顔をしているハレルヤの頭に手をまわし、髪をくしゃっとつかんで、上を向かせる。
「ハレルヤ」
ハレルヤに対して、はずかしいなどという気持ちはもうない、と思っていたが、なぜか、声がちいさくなった。
「…ぼくの、洗ってくれるって…。言ったよね…?」
ハレルヤが一瞬瞠目し、ニヤリとする。
「あぁ。今日は全身洗ってやるよ。ケツの穴もな。オレとヤると、後ろも濡れるんだろ?」
「な…っ! もう…!」
「今日も、濡れたんだろ?」
「…そうだけど…」
「はずかしがんなよ。オレは嬉しいぜ、アレルヤ」
湯になったシャワーでボディソープを泡立てながら、ハレルヤは笑った。
最後にからだをつなげたのは、いつだっただろう。
ずっと第一戦闘態勢が続き、パイロットスーツを脱げなかった、あのとき。
自室にも戻れず、激しい戦闘が続いて常に整備中の愛機に、いつでも飛び乗れるよう、すぐとなりの待機室にいた。
覚悟を決めたはずなのに、それでもまだ自問自答を続けるアレルヤを、ハレルヤは誘った。
からだを、乗っ取るために。
アレルヤと、生き残るために。
アレルヤの優柔不断さも、ハレルヤにとっては愛しいものだ。だが、あのときは邪魔になった。微塵の迷いもあってはならない状況だった。
マリーと対峙するときは常に自分であるよう、アレルヤの頭痛も放置していたが、最後はそんなことはいっていられなかった。
中途半端に脱いだパイロットスーツの隙間からからだをつなげ、ハレルヤは、アレルヤを翻弄し、脳をしびれさせた。
最後に愛機で宇宙に飛び出したとき、これまでになく存在感の強いハレルヤに、アレルヤは簡単にからだを手渡したのだ。
「なぁ、アレルヤ」
「ん…?」
「オレが相手してやれなかった間、このすげぇのは、どうしてたんだ? 自分で出してたのか?」
「それを、今、聞くの…っ?」
「ダメか?」
ハレルヤがすこし意地悪く微笑む。
「……。自分で…──出してた…」
「手で?」
「ほかに、どうやるのっ」
「そうだな」
性器を隠れて見えなくなるほどに濃厚な泡で包み、その泡に手をめりこませるようなかたちで、ハレルヤはアレルヤを上へ上へと追いつめていく。
フツフツと潰れて消えていく泡の感触を指の間に感じながら、手の平に、指の腹に、指先に、アレルヤの硬くなった肉の感触を強く意識して。
「もう、もういい、よ、ハレルヤ…」
くびれた部分を半ば強引に洗うと、アレルヤの腰が引けた。
「だってお前、まだイッてねぇじゃん。オレにも飲ませろ」
「ハレルヤの、口になん、て、出せないよ…っ」
「もうなに食っても大丈夫だぜ?」
「ううん、そういうことじゃ、なくって」
こんなときにまで、ハレルヤはかわいいことを言う。
アレルヤは思わずちいさく笑うと、壁にかけてあった湯を出しっぱなしのシャワーの柄をとり、ハレルヤの手を洗った。
「次は、ぼくの番だね」
「ぁ…?」
アレルヤが微笑んで、ハレルヤを壁にもたれさせる。
先にシャワーで壁をあたため、なるべく、恐がらせないように。
この作業を、ハレルヤが苦手なのは知っているが、まさかホースで丸洗いするわけにもいかない。
ハレルヤの腹を、てのひらでゆっくりと押す。
「…っ、ぐ…っ、う…」
「ハレルヤ、ちから、入れて、ゆっくり」
「…い、て…、え」
アレルヤが腹を押しながら、てのひらをぐっとさげていくと、ハレルヤの太股に粘いものが続けて幾筋もしたたって、水流を強めに設定した湯が、それを排水溝まで洗い流した。
「あー…まだ、はいってんな…」
「もういっかい、する?」
ハレルヤは軽く息を吐くと、アレルヤの肩に、腕を置いた。
「こっちのほうをな」
「え?」
片足を、アレルヤの腰にからませる。
アレルヤはずっと、勃ちっぱなしなのだ。
「ハレルヤ?」
「入れたくてしょうがねぇだろ?」
「だけど…」
「したいことしてイイぜ?」
「でも…」
「アレルヤ」
急に真顔になったハレルヤに名前を呼ばれ、アレルヤの眉がぴくりと動く。
「したいこと、しろよ」
「後ろから…」
目をそらし、頬をすこし染めたアレルヤの声は、消え入りそうだった。
ふん、とハレルヤは笑顔になる。
「イイぜ」
「え、だって…」
潔く壁に手をついたハレルヤが、振り向く。
「ん? キッチンがいいか?」
「ち、ちがうよ、そんな…っ」
「じゃあなんだ」
「だってハレルヤ……ぼくと後ろからするの、嫌いでしょう?」
「お前とって、オレはお前としかヤッたことねぇよ」
「ぼくもだけど…」
「ヤりたいんだろ? バックで」
アレルヤは頬をかすかに震わせ、ハレルヤからふたたび視線を落とした。
「…ハレルヤが、イヤじゃないなら…したい」
「じゃ、来いよ、ほら。そんなデカくなりっぱなしじゃ、痛ぇだろ」
「…うん」
アレルヤが、恐る恐るハレルヤの腰に手を添える。
「イイぜ。好きにしろ」
「…ごめんね──」
ハレルヤの両足を、足先を使ってさらに開かせ、腰を突きださせる。
あまりに刺激的なかっこうに、前戯もなにもなく、アレルヤは2、3度場所を確かめるように先端でそこを擦ると、一気にペニスを押し込んだ。
衝撃で、ハレルヤの喉がのけぞり、声がもれる。
「…すっげ、お前……ッ」
「…苦しい? …大丈夫?」
すでに律動を始めながらも、アレルヤは両腕でハレルヤの腰をおさえ込み、ハレルヤの耳もとで囁く。
「ハハッ、なんでっ、お前、泣きそう、?」
「だって…ぼく、すごく、興奮…してる…」
「バックは、初め、て、だもん、なあ」
壁についたハレルヤの指先が、白くなって、ぶるぶると震えている。
「ハレルヤ、痛くない?」
「痛くは、ねぇよ」
「こわく、ない?」
「大丈夫、だ」
律動の激しさに、つま先で踏みとどまっていたハレルヤの足が、浮き始める。
嬌声は、ない。
「やっぱり、だめだ」
突然アレルヤが動きをとめると、からだをつなげたまま、ハレルヤをひっくり返した。
「…あ?」
「こわがること、したくない」
「こわがってなんか…ねぇよ」
「うそ」
アレルヤのペニスは、ハレルヤのなかで大きくなったままだ。
ハレルヤは、体位がかわったことで、異物感が悦楽へと変化していくのを、からだの奥で感じた。
「──うそじゃねぇよ」
「うそだよ、だって、ハレルヤ、ぼくとするとき、いつもあんあん言うもん」
「なっ…! バロメーターはそれかよ!」
「違うの?」
まぁ…それは確かに確実だけど…、と言いかけて、急に突きあげられ、ハレルヤは声をあげた。
アレルヤに片膝の裏を持ちあげられ、壁を背に、出し入れされる。
「あ…ッ、あ…ッ、」
途端に、からだの奥がじゅっと濡れるのがわかった。
急激に変化したハレルヤに、アレルヤが嬉しそうに言う。
「ほら、やっぱり、ハレルヤ」
勝ったかのような、その微笑みに、ハレルヤは揺さぶられながら、自分の濡れた前髪をかきあげた。
「あーもぅ…くっそ…」