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(2) ~*R18~


 一体どこにいたというのだろう。やはり、部屋のどこかにいたのだろうか?
「どうしよう、ロックオン…」
「…アレルヤ?」
 扉が不自然に揺れて、ロックオンは身構えた。
「おい…? どこにいるんだ!?」
「ここです。あなたのすぐ前に…」
「前…? 見えねぇ…どこだ?」
「やっぱり、見えませんか…?」
 目を凝らすが、ロックオンに見えるのは、真っ白なバスルームの壁だけだ。
 壁と自分の間にいるはずのアレルヤに、どうしても焦点があわず、ロックオンは声を荒げた。
「どこだ? 声しか聞こえねぇぞ!? 本当にいるのか!?」
「はい。ここに、ちゃんと……」
 アレルヤの肌の感触は、すべてからだで憶えている。
 その、触れ慣れた手のひらがロックオンの手首をゆっくりとそっと握り、自分のほうへと引き寄せた。
 確かに、そこにはアレルヤのからだが触れて、ロックオンの手は自然と震えた。
「な、なんだよ…なんで見えねぇんだよ…」
「ぼくにもさっぱりわかりません…起きたらこうなっていて…」
 アレルヤはいつも通り、ロックオンのとなりで眠っていたのだ。バスタオルを引き抜くときに重さを感じたのは、アレルヤの腰も乗っていたためだったのだろう。
「ここで考えてもしょうがねぇ。ちょっと待ってろ、今終わらせちまうから…っと、お前も起きたばかりなんだよな? シャワー浴びるか?」
 ロックオンの手首から、アレルヤの手がそっと離れた。
「はい…でもいいんですか?」
「なにがだよ」
「気持ち悪く、ないですか?」
「お前のことがか? んなわけねぇだろ」
「でも……」
「確かに透明人間はおれも初めて“見る”けどさ、ほら、来いよ」
 手探りでアレルヤの腕をつかむと、ロックオンは自分のほうへと強く引き寄せた。
 シャワーの飛沫で、アレルヤがここにいるのがわかる。さらに石鹸を泡立てたスポンジを絞ると、白い泡が宙に立体を浮かび上がらせた。
 たしかに、アレルヤのからだだ。
 スポンジを手渡すと、アレルヤはいつもと同じ手順で、左腕から洗い始める。
 ロックオンは自分についた泡を洗い流すと、湯を出しっぱなしにしたまま、その場を離れた。
「あったまってから出ろよ。バスローブ、ここに置いとくから、ちゃんと着て出てこい」
 アレルヤの顔の位置に向かって微笑むと、アレルヤが頷くのがなんとなくわかった。
「ごゆっくり」



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