■東4ホール/ホ61b
Lsgの本は基本ゆるめではありますが、すべての作品にエロ描写があります。
18歳未満の方への閲覧・販売・配布はお断りいたします。お若く見える方には、大変失礼ですが生まれ年の判る身分証明の提示をお願いする場合もございます。何卒ご了承ください。
■新刊予定
・『HONEYSTAR』 ~ラブエロシリーズ
…A5/30-40P/\300/コピー/ライハレメインとアレニル/*R18
→本文サンプルはこのページの右の方にあります
■既刊
・『オリーヴ・スカイ』
…A5/68P/\600/コピー/アレ(ハレ)×ニル/*R18+
・『散らない花+ひつじがにひき』(2009.11.1.)
…A5/30P/\300/コピー/アレ×ニル/*R18+
・『SAKURA Shampoo』 ~ラブエロシリーズ (2009.3.15.)
…A5/44P/\600/オフ/アレ×ニル/*R18
・『Love! Eros! Glück!!』 ~ラブエロシリーズ (2008.12.28.)
…A5/20P/\300/オフ/アレ×ニル・ライ×ハレ/*R18
・『灼熱のzero-kelvin』(2008.11.3.)
…A5/80P/\700/オフ/アレ(ハレ)×ニル/*R18
右ページに、各サンプルがあります→
R18部分も入っていますので、ご注意ください。
■HONEYSTAR (新刊)
《サンプル1》ライハレのページ
「こんなに……空気が薄い、なんてなぁ……」
ホテルへと続く階段を上りながら、ライルは息をはずませた。
初めてのハレルヤとの旅行。兄たちに干渉されない、ふたりだけの海外旅行は、スイスだった。
数百年ものあいだ、ずっと中立を貫き、自分たちにとっても安全な国だというのはわかるが、どうして記念すべき今回の旅行がスイスになったのか、ライルにもわからない。ただ、先日読んだ兄の新作に、舞台の一つとして出てきていた。なんとなく良いところだという印象だけはあったから、旅行の話を持ちかけたとき、同じようにニールの新作を読んでいたハレルヤも、一言、いいんじゃねぇ? と応えたのだ。
「ハレルヤは、平気なのかぁ…?」
「はぁ? どうってことねぇだろ。息できんじゃん」
「いや、できるには、できるんだけどさ……」
確かに、宇宙にいたときのことを考えれば、生身でいられるだけストレスはずっと少ないが。
だが、今の状況よりも、宇宙で恵まれた機材に囲まれていたときのほうが、からだは数倍楽だった気がする。
ハレルヤはすこし呆れた顔をすると、自分の後ろで肩を大きく上下させているライルに、手を差し出した。
「ほら」
「ぁ……?」
「引っ張ってやっから。ったく、体力ねぇなぁ、お前はよ」
体力は充分にあるつもりだ。
毎日ハレルヤの仕事を手伝い、アレルヤが肥料や腐葉土を運ぼうとしていればそれを手伝い、立派に育った根菜類を引っこ抜くのを手伝い。冬になれば、毎日何度も雪かきをしなければならない。キッチンでアレルヤと料理をし、ときどき畑の簡単な作業を手伝い、〆切り間近となれば一日中書斎に籠もっている兄とは違い、ライルは毎朝すこしの時間端末に向かって、あとは庭にいることが多かった。
《サンプル2》ライハレのページ
「なに言ってンだ、オレはごめんだ」
「え~~~」
「イラッとさせんな!」
ブラウスとTシャツを脱いで向かいのベッドに放り、ライルの手がそっとハレルヤのブラウスを脱がせにかかる。ハレルヤは、先に自分が脱がされるのも好まなかった。
ボタンを三つほど外したハレルヤのブラウスと肌との隙間に、手をそっと差し入れる。そこは生暖かくて、ひどくいやらしい感触だった。
「いい匂いだ」
「汗くせぇだけだろ? 鼻詰まってんのかよ?」
「そんなことねぇって……なんなら見る?」
ライルが、顎をすこし突き出して微笑む。
「……っ! あ~、なんか、すっげイラッときた……」
「怒るなよ。ハレルヤの匂い、俺は大好きなんだ。知ってるだろ?」
「! やっぱ、先風呂……っ」
「イヤだよ、先にしようよ」
起き上がろうとするハレルヤを、脱がしかけのブラウスごとベッドに押し付けて、ライルは静かに深く息を吸った。
首筋にすぅっと涼しい風が通り、ハレルヤが口唇を噛む。
《サンプル3》アレニルのページ
弟たちがこの家に棲むようになって、何年が経ったのだろうか。
その間の冬場、ニールは雪かきが終わるまで、ほとんど家の外に出たことがなかったのだ。というよりも、弟たちが玄関から門までの雪の壁をきっちりと固めるまで、アレルヤが外に出してくれなかった。
「ごめんな、やっぱりおれ、お前の足引っ張った」
「かわいかったよ、全身雪だるまのニールも。なんだか絵本の世界みたいだった」
長い睫毛も、朝日にキラキラと輝く結晶でいっぱいになっていた。
暖かい家に入れば、瞬時に雪は溶けて、ニールはびしょ濡れになってしまう。手袋では払い切れなかった顔の雪を、アレルヤは道路側から見えないようにして、そっと舌で舐めとった。
それでもありとあらゆる隙間に紛れ込んだ雪はとれなくて、やはり家に入った途端にニールは水を滴らせながら服を脱ぐはめになったのだ。
濡れたものをすべて片付けると、アレルヤは急いでバスタブに湯を張り、ニールを浸からせた。
「またすこし……痩せたみたい」
「そうか? あんなに食ってるのにな」
■オリーヴ・スカイ
《サンプル1》
「拡張は、されてるみたいだね」
アレルヤと名乗った男が蕾を指先でなぞり、微笑む。
「男の人に、抱かれたことは?」
質問の意味がはっきりとは解からず、青白い頬がちいさく震えた。
殴られると思っているのだろうか。蒼碧色の瞳はすっかり怯えて、逞しい腕が回された腰も力なく、今にもくだけてしまいそうだった。
「ここに、なにを入れられた?」
「……そこ……?」
アレルヤの指が触れているのは、ずっと休ませてもらえなかった器官だ。絶えず意識し続けて、ついには意識とは別に動くようにされてしまった。
「そう、ここに」
「……銀色の…機械……」
「それだけ?」
かたちの良い顎が、ちいさく縦に振られる。
「そう…」
爪が整えられた人差指が何度も、やわらかな襞をくるくると撫でた。
そして、なにか滑るものを乗せた中指が、その中央にいきなり根元まで突き立てられる。蕾の口に指輪が嵌まり、体内には熱い刺激を感じて、壁に押しつけられていたからだがびくんと跳ねた。
「……ぁっ…ぅ……」
「お肉の棒は……?」
口唇を噛みしめ、ニールは何度も頭を横に振って否定した。
《サンプル2》
男はデッキから降りるとサンダルをつっかけ、大きな紅い実をひとつ採った。
「アレルヤから好きなのを食っていいって、言われてんだろ?」
男は戻ってくるとデッキにまた裸足で上がり、林檎を慣れた仕草で服で磨き、犬歯を突き立てた。顎も丈夫なのだろう、陽の光に反射していた実の一部が大きく欠けた。
「ほら」
差し出された紅い実を、ニールはじっと見つめた。
林檎を齧るのが大変なのは、最初の一口だ。まだ力の戻りきらないニールが食べやすいようにと、男はとっかかりを作ってくれたのだった。
林檎はとてもみずみずしく、ニールは勧められるままに、男が齧ったところに口をつけた。
「甘いだろ?」
「……ちょっと酸っぱい」
「そうか? 毎日アイスばっか食ってっからだ」
そんなことを言われても、刺激のない暮らしのなかでは、味覚だけがおしゃべりになる。アレルヤが作って冷凍庫に入れておいてくれるアイスクリームは、退屈なニールに暫し時間を忘れさせてくれるのだ。三日もあれば一パック食べてしまうニールのために、アレルヤは毎日のように様々な味のアイスクリームを用意してくれた。甘い風味のバニラ、コクのあるチョコレート、甘酸っぱくてデリケートな香りのストロベリー、さっぱりとして綺麗な色をしたレモン、鼻にすっと抜ける香りと粒々の感触が楽しいチョコレートミント。今日はどれを食べようかと、冷凍庫の前で迷うことさえある。選べなくて、一度に全部の蓋を開け、一口ずつ順にスプーンをつけることもある。
アレルヤは、ニールが冷凍庫のドアを開けっぱなしで食べていても、ちいさく笑ってそれを閉めるだけで、ニールの行儀の悪さを決して怒らなかった。
「アイス、好きか?」
「うん」
林檎を咀嚼しながら正直に頷くと、男は笑顔になった。
■『散らない花+ひつじがにひき』
《サンプル1》(『散らない花』)
大の男がふたりも歩いて、瓦がはがれてしまうのではないかと心配になったが、多少カタカタと音をたてる箇所があるくらいで、さほど心配はしなくて済みそうだった。
「さっき始まりの音が響いてたから、そろそろだよ」
金銀の瞳は、こんな薄暗いなかでも良く見えているのだろうか。アレルヤが白い服を着ていなかったら、とてもじゃないが勝手がわからないような場所だ。
おれは高いところは苦手じゃないけど、さすがにこれはない……。柵も命綱もねぇ。屋根の傾斜は結構な角度で、ツルッといったら、えらいことだ。
なんとか追いついて、アレルヤの隣りに腰をおろすと、自然とアレルヤの手が背中に触れた。
「なぁ、ここでなにすんだ?」
「ん? あ、ほら、始まるよ」
だから、なにがだよ?
海を見つめるアレルヤに向かってそう言おうとしたところで、ひゅるひゅると左耳を掠める音がした。
《サンプル2》(『散らない花』)
声に誘われるように、おれはアレルヤのペニスを口にすこしだけ含んだ。
石鹸の香りが、鼻腔をすっと抜けていく。
アレルヤの両足の間にぺたりと力なく座り込んで、腕もだらりと垂らしたままで、顔だけを上に向け、アレルヤと見つめあいながら、アレルヤのペニスにゆっくり口唇を這わせて、先端を食べるように咥える。
出すものを出しきって項垂れたそれは、ちょうど疲労困憊なおれの口に合うサイズだった。
「ニール、まだしたいの?」
おれを見下ろして、アレルヤが優しく問いかけてきた。
また血が集まり始めて長く硬くなりかけたペニスを慌てて口から離すと、舐めていた部分がピンとおれの頬を弾いて、上を向いた。
「いや、もう、…無理……」
「うん、知ってる」
「その……。緩んだか?」
「うん」
うん……か。
アレルヤは嬉しそうだが、おれとしては微妙な気持ちにさせられる表現だ。
《サンプル3》(『ひつじがにひき』)
「……ありがとさん」
「うん」
ニールの両腕が、アレルヤの背中にまわった。
強く縋りついたり、爪をたてたり、ときにはもう許してくれと叩いたりするような、セックスのときとは違う。
包み込み、優しく撫でさすって、それから抱きしめる。
「アレルヤ」
「うん?」
「ヒツジ、数えてくれ」
「うん」
アレルヤはニールの額にちいさなキスをすると、ニールの顔を肩の上に招き寄せた。
「ひつじがいっぴき」
アレルヤの声が、白く冷たい耳をくすぐる。
ひどく心地良くて、ニールはすっと瞼を閉じた。
■はじまりの雄蕊~ハジマリノオシベ~
《サンプル1》
「郊外のホテルで良いか?」
「…ホテル?」
「要人がいなくて、他人に話を聞かれずに済んで、おまけに時間を気にしなくて済む場所といったら、それくらいしか思いつかない」
「そうだね…」
デュナメスをまるで自分のからだのように操っていた四肢が、ハンドルを握り、シフトレバーを何度もチェンジし、アクセルとブレーキ、ギアペダルを極自然に踏みかえる。
その手にいつもの黒い手袋がないことに初めて気付き、アレルヤは見てはいけないものを見たような気分になって、窓の外へと顔を向けた。
街を抜け、海岸線に出ると、車は殆ど走っていなかった。
田舎町だ。そもそも、こんな場所にある空港で出遭ったこと自体が、奇跡のような確率だった。
車の速度が上がる。カーブではタイヤが悲鳴を上げ、ガソリン車特有のエンジン音を鳴り響かせた。
「──運転、案外荒いんですね」
急なカーブのたびに、幾度もシフトチェンジをするロックオンの白い右手をちらりと見ながら、アレルヤは微動だにしない。優れた体躯が、勝手にからだを支えるのだ。
「恐いか?」
「いいえ」
即答したアレルヤに、ロックオンは笑った。
《サンプル2》
痛みと、器官が破られるのではないかという恐怖心を、ロックオンは歯を食い縛って抑え込んだ。
ぎりぎりと音をたてるほど噛み合わされた歯の隙間から、気管支を通って、息とも声ともわからない叫びが止まらなかった。
だが、アレルヤのからだを突き放せない。
両腕は縋るかのようにアレルヤの背中を締め付け、手の平と指先で滑らかな熱い肌を幾度も貪るかのように確かめ、両足はみっともなく交差してアレルヤの腰を挟み──。
アレルヤの逞しいペニスが果てもなく自分のからだを突き上げるのを、苦痛に痺れた脳が、どうしようもない喜びと感じている。
■SAKURA Shampoo
《サンプル1》
ざわざわと、空に近い枝先が、夕刻の風に煽られているのが見える。
今の生活を手に入れるまで、自分たちもああやって抵抗する術もなく、翻弄された。花も実も、奪われた。
子供だからといって、世界は考慮なんかしてくれなかった。そんな経験があるからといって、運命は遠慮など、してくれなかった。
毎日が辛く苦しく、眠ることすら恐怖の対象になった。
本当のやすらぎを得たのは、アレルヤと一緒に生きるようになって、しばらく経ってからのことだ。
なにもかもを告白し、過去は捨てずに互いに背負い合うことを決め、ひっそりとふたりで暮らすようになって数年。
アレルヤがいてくれたから、生きてこれた。
アレルヤがいなければ、生きていけない。
アレルヤが好きだ。
愛している。
もしも〝そのとき〟が来たときは、その重さに自分が砕け潰れてしまおうと、アレルヤの十字架も自分が持っていってやりたい。
強い風が吹きつけ、ニールのからだを、枝から摘まれたばかりの花びらが何枚も掠めていった。
《サンプル2》
「…ニール…抱いていい?」
ここまでしておいて確認するのかと、思わずニールが表情を和らげる。
頭を大きく縦に振って見せると、アレルヤは泣きそうな顔をして、障子からニールの着物の両袖を解いた。
抱きしめられる。
懐紙はそのままに、強く抱きしめられ、首筋を吸われて、強い力で着物を脱がされる。
自由になった手で、ニールもそっと、アレルヤの着物の前を弛めた。
「…ニール、抱くよ?」
再び大きく頷くと、脱がされた着物の上に押し倒された。
互いのなにもかもが、互いのものだ。
からだじゅうを指と舌で愛撫され、吸い上げられると、ニールの喉許から幾度もくぐもった声があがった。
今にも快楽に溺れて泣きそうな、濃いピンク色に染まった白い顔に、真っ白な懐紙はひどくいやらしい感じがした。
アレルヤが、からだに入ってくる。
昨日、風呂の中で繋げられたときとは違い、挿入に強い痛みはなかった。
■Love! Eros! Glück!!
《サンプル1》
「…あっ…あっ…」
「ライル、丁寧にな。ハレルヤに傷がつかないように」
足をさらに大きく開かれ、ハレルヤがからだを奮わせる。
「ハレルヤ、かわいい…」
頬を伝う唾液を、アレルヤが空いている方の手の甲で、優しく拭った。
「…すごく柔らかくなってきた」
「イケそうか?」
「たぶん」
「…あ、なに…?」
「ライルと繋がるんだよ」
「…へ…?」
突然押し当てられてきたものの感触に、ハレルヤは飛び上がった。潤む目を見開き、頭を持ち上げて足の間を見る。
「!? …なっ…」
「すこし痛いかもしれないけど」
ズッ…と進んできたライルのペニスに、ハレルヤはかまわず大声で悲鳴をあげた。
「すこしじゃねぇッ! バカ兄弟!」
「ひどい言われようだな」
「がんばって、ハレルヤ。初めは痛いものだから」
アレルヤとニールに両手を、両足をライルに抱えられ、足の付け根も占拠されて、ハレルヤに逃げる術はなかった。
《サンプル2》
弟たちのやりとりに構うことなく、指先でニールのからだを確認すると、アレルヤはすっかり勃ち上がったものを、一気にニールに刺し込んだ。
「!? あぅ…ッ」
これまでに、よほど慣らされてきたのだろう。アレルヤにからだをつなげられただけで、ニールは背中を引き攣らせ、喉から甘い声をあげた。
声が出たのは一瞬だったが、激しくあがり始める息が声帯を通らないようにと必死で意識を保とうとしているのは、誰が見ても一目瞭然だった。
「バ…カ…お前、こんな、とこで……。ライルのベッドだぞ…!?」
「でも…ニールも、濡れてたよ」
「それは…っ」
「ハレルヤを見て興奮したの?」
「違うって…、むちゃくちゃだろ…っ」
泣きそうな顔をしているニールに、アレルヤも泣きそうな顔をして、微笑みかける。
「ごめんね…っ」
アレルヤの舌が白い首筋を舐め上げ、耳の後ろを吸い、耳のなかに舌先が入り込むと、ニールは肩をすくめて、激しくからだをよじらせた。
「…やっ、…ぁ…、ひぐ…」
「すっげ……」
普段の兄とはとても同じ人物に見えない壮絶な色気に、ハレルヤのベッドに乗り上げていたライルが息を飲む。
■灼熱のzero-kelvin
《サンプル1》
アレルヤと刹那は、それぞれ真逆の入り口から同時に廃墟に突入した。
予測通り、アレルヤが入った側の部屋で、荒くれの男三人が煙草をふかし、くつろいでいた。隊長がでかけて気が緩んでいるところを襲撃したつもりだったが、やはりアリーほどの傭兵が連れているだけあって、そう簡単には進まなかった。
なんといっても、戦争が一時終結してしまい、男たちも気が立っているのだ。
建物内の壁ごしに、激しい銃撃戦になった。ひさびさに血を見られるとばかり、男たちはいきり立って撃ってきた。
アレルヤが三人を釘付けにしている間、予定通り真っ先に通信機器とアンテナを破壊した刹那は、次に武器庫を見つけて大量の可燃性接着剤を撒くスプリンクラーを天井に仕掛けると、銃を手に、壁沿いに各部屋をまわった。その間に、スコープでは見えない位置にいた一人を撃ち殺し、死角から突然襲い掛かってきた一人をナイフで切り殺した。
どの部屋も予想以上に荒れていて、使える部屋のほうが少ないほどだった。
薄茶色の土壁で細々と仕切られた部屋を、いくつまわっただろうか。
かろうじて屋根がほぼ全て残る部屋の隅に、やっと、生きていて欲しいと渇望していたその姿があった。
アリーが使っていると思われる、広い、長方形をした部屋だった。
「ロックオン……」
壁に打ち込まれた太い金具からのびた鎖が手足を拘束し、からだには地元の民族のものらしき薄汚れた服が一枚、雑にかけてあるだけだ。
砂埃が積もった床に敷かれた毛布の上に、すすけた、だがまぶしいほどに白く長い足が、無造作に投げ出されていた。
こんな姿にして壁に縫いつけ、アリーは毎日、ロックオンを鑑賞でもしているのだろうか。
──鑑賞なんて生やさしいものでは、到底ないだろう。
くっ、と歯を喰い締めると、迷うことなく、刹那は部屋のなかへと足を踏み入れた。
《サンプル2》
怖がらせないように優しく衣服を脱がし、やわらかく潤んだ後孔を指先で確認すると、アレルヤは、ゆっくりとからだを進めた。
検査があった日の翌日から、アレルヤは一度もゴムを使っていない。
毎日部屋に届く補充物資のなかに、ときどき新しいものが入っていたが、ロックオンが満たされないのなら、自分も同じく射精はしない。ゼリーつきのゴムは、ベッド脇の棚に封を開けないまま、仕舞い込んだ。
実際、ゼリーもローションも使わずに挿入しても、ロックオンは、その瞬間ちいさく震えるだけで、まったく痛がらなかった。
からだを繋げると、長く細い息を口から吐いて、安心したかのように完全に主導権を渡してくる。
「ん…違……イキたい、イキたい…」
「ここ、違う?」
「違うぅ」
「どうしよう、どこが気持ちいいのかな」
ロックオン自身には、なぜこんなに苦しいのか、理由がわかるわけもないのだ。
絶頂を迎えられないことがわかっていながらも、アレルヤは以前ロックオンが好きだったところを突き、きつくこすり上げ、優しくかきまわした。
どこを攻めてやっても、今のロックオンには気持ちよくなる場所などないのに、せがまれれば、応えようとしてやるしかなかった。
ロックオンは、一日に何度もアレルヤにセックスをせがむ。が、必死で気持ちよくなろうとしているうちに疲れてしまい、だんだんと、恐怖に満ちた瞳で、ペニスが出入りするのを見るようになる。
自分のからだで、きちんと相手を気持ち良くできているのか、満足させられるのか。
アレルヤはしばらくその変化に気づかなかったが、何度めかのセックスで、ロックオンが伏せていた睫をあげて自分を見上げてきたとき、息が止まる想いをした。
一方的に玩具にされてきたのだと、心底知らされた。
欲しがるのは、あくまでも薬の禁断症状のせいで、それが一時的におさまってくれば、ロックオンにとってセックスはノルマでしかないのだ。
そのときから、アレルヤはロックオンの頬を両手ではさみ、ときどき自分を見上げさせるようになった。
すこしでも、瞳に翳りが映り始めたら、すぐさま、ロックオンにとって苦痛なこの行為をやめられるように。
アレルヤは、ロックオンの瞳を見ると、やさしく微笑んでから、ゆっくりとペニスを抜いた。
最大の大きさではないが、鈴口からは、溜まった精液が糸を引いた。
「ぁ……。イかなくて、イイの…?」
「うん、いいんだよ」
「おれ、良くない?」
「うぅん、そうじゃない。ぼくが、ニールを気持ち良くしたいんだ」
セックスが中断されるたびに、ロックオンは怯えた様子を見せる。
それでも、無理矢理ペニスを咥え込ませて苦痛を与えてしまうより、これでいいんだと根気良く言い聞かせるほうがいい。
ノルマなんて、自分たちには必要がない。好きでしょうがないから、からだを繋げる。同じだけ気持ちよくなって、同じだけ精を吐き出すのだ。